僅か16年の悠斗の人生、その証をここに残します
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被告人質問(2回目)(2011年2月10日 第2回公判)

<検察官請求証拠番号甲1号証添付の事故現場見取図2(写し)を示す>

検察官:前回の裁判であなたの話では、C地点での速度が推定で時速約70キロメートルだと思うと話していましたが、それは今も変わらないですか。
被告人:そうだと思います。

検察官:C地点での速度が時速約70キロメートルだと思うということですが、D地点でぶつかったときは、速度はもっと遅かったのですか。
被告人:遅かったと思います。街灯の球も切れていて暗かったし、(被害者)の着ていたブレザーも暗い紺色でしたので、発見が遅れたということもあります。

検察官:今の私の質問は、Dの地点であなたの車の衝突したとき、その速度は時速70キロメートルよりも遅かったということですか、ということですか、どうなのですか。
被告人:はい。

検察官:だいたいどのくらいという感覚でしたか。
被告人:それはちょっと分かりませんが、70キロメートルよりもスピードは落ちていたと思います。

検察官:その時の時速60キロメートルくらいだったとか50キロメートルくらいだったとか、その辺は全然分かりませんか。
被告人:はい。

検察官:そのC地点に来たときに、自分の車が70キロメートルくらいだと思うという話を、あなたは警察ではしていませんね。
被告人:はい、後から思い出して。

検察官:平成22年12月20日に、検察庁で取調べを受けたときもC地点で時速70キロメートルだったと思うという話をしていないですね。
被告人:はい。

検察官:いつから、C地点に来たときに時速70キロメートルくらいだったんじゃないかと思い始めたのですか。
被告人:それはちょっと覚えていませんが、後から記憶が出てきたというのが事実で・・・。

検察官:何か記憶がよみがえる切っ掛けがあるのですか。
被告人:切っ掛けはないのですが、自分なりに何かあったんだろうかなと、思い出すようにしていました。

検察官:C地点に来たとき、あなたは自分の車のスピードメーターを見ていたわけではないのですね。
被告人:それは見ていませんけれど。

検察官:ではどうして時速70キロメートルという数字が出てきたのですか。
被告人:下り坂でアクセルを踏んでいませんし、当然、速度も自動的に落ちて、黒い影のようなものが見えて、何だろうと思いながら走行していたのですけれど、そのときにはもうそのくらいの速度じゃないかと思い、そう言いました。

検察官:前回の法廷では、目撃者の話がどうのこうのということがありましたが、その目撃者の話というのが何か関係があるのですか。
被告人:それは関係あります。

検察官:どの様に関係あるのですか。
被告人:目撃者の車両と自分の乗った車両が、ほとんど多分、時速もあまり変わらなかったと思うのです。

検察官:どうして速度が変わらないと思うのですか。
被告人:目撃者の速度は、時速60から70、70から80キロメートルと書いてあるのですが、その速度と変わらないと思います。

検察官:あなたは、目撃者の○○さんの調書をどこかで読んだのですか。
被告人:後から読みました。

検察官:後からというのは、検察庁で話を聞かれたということですか。
被告人:そうです。

検察官:目撃者の調書を見ると、時速70キロメートルくらいの速度だったと書いてありましたね。
被告人:はい。

検察官:目撃者の車の速度とあなたの車の速度が同じくらいだったということが、調書に書かれていましたか。
被告人:書かれてはいませんけれど。

検察官:目撃者の調書の中では、目撃者の車とあなたの車の車間距離は徐々に離れていったと書かれていませんでしたか。
被告人:はい。

検察官:そしたら、目撃者の車の速度とあなたの車の速度が同じだったということはないのではありませんか。
被告人:それはわかりませんけど・・、速度は同じくらいだったと・・。

検察官:衝突後、あなたの車が停止した場所というのは、この図でいうとどこなのですか。
被告人:ここら辺だと思います。

検察官:今あなたが指差したのは、「破片散乱」と書いてある、「散」という字が書かれてある場所ですね。
被告人:はい。そこで一旦停止しました。

検察官:前回のあなたの話では、そこからまた車を前に出したと言っていましたね。
被告人:はい。交通の妨げになると思い、この地点まで車を動かしました。

検察官:今あなたが指したのは、E地点ですが、そこまで車を動かして、そこで止めたということですか。
被告人:はい。

検察官:このE地点というのは、衝突後、最初に車が止まった場所ではないのですか。
被告人:違います。

検察官:実況見分のときは、どの様に説明していましたか。
被告人:実況見分のときは、まだ頭が混乱していたので、ありのままのことを言いました。

検察官:衝突して最初に止まったのはE地点だと実況見分のときに話したということですね。
被告人:はい。

検察官:警察の取調のときも、衝突後、最初に止まったのはE地点だと話していましたね。
被告人:はい。

検察官:去年12月20日の検察庁での取調べのときも、衝突後、最初止まったのはE地点だと話していましたね。
被告人:はい。

検察官:停止した場所について、どうして急に話が変わったのですか。
被告人:それも後から記憶がよみがえってきました。

検察官:止まった場所が全然違いますね。
被告人:はい。

検察官:後から記憶がよみがえったということなのですか。
被告人:はい。

検察官:この停止した場所というのも、目撃者の話と何か関係があるのですか。
被告人:それはありません。

検察官:前回の法廷では、12月20の検察庁での取調べのときは、頭がまだ整理できていなかったと話していますね。
被告人:はい。

検察官:検察庁で取調べをうけたとき、あなたは身体を拘束されていましたか。
被告人:警察の留置場に2日間入れられました。

検察官:それは事故の後の2日間ですね。
被告人:はい。

検察官:平成22年12月20日に検察庁で取調べをうけたときは、留置されていなかったですね。
被告人:はい。

検察官:その検察庁の取調べのときには、事故から1か月半くらい経っていたと思いますが、その間に事故のことを思い返して考えることはなかったのですか。
被告人:そのときはまだ、頭の中が混乱していてそういうことは考えられませんでした。

検察官:事故から1ヶ月半の間に、事故のことは考えられていなかったということですか。
被告人:はい。ショックが大きかったのとまだ頭の中が混乱していたというか。

検察官:検察庁で、先ほどの図面のA地点での速度が時速90キロメートルくらいだったと、あなたは話していましたね。
被告人:そのときははっきり分からなかったので、あいまいに答えてしまったんだと思います。

検察官:あなた自身、時速90キロメートルしらいだったと思ったのではないですか。
被告人:違います。

検察官:検察庁の取調べのときも、よく考えずにあいまいに答えていたということなのですか。
被告人:はっきり分からなかったということもあるのですけれど、そう答えてしまいました。

検察官:検察官に、追い越したときに時速100キロメートルじゃなくて、110とか120キロメートルくらいの速度が出ていたんじゃないかと聞かれていたのではないですか。
被告人:それはなかったと思います。

検察官:覚えていないのですか。
被告人:分かりません。

検察官:検察官に、前の車を追い越したときに、時速110とか120キロメートルくらい出ていたのではないかと聞かれ、そんなに出ていない、100キロメートルくらいだと話していませんでしたか。
被告人:・・・、最初のときは聞かれたかもしれません。

検察官:時速110キロメートルくらいとか120キロメートルなんて出したことはない、と捜査段階で話していたのは覚えていますか。
被告人:聞かれたとは思います。覚えています。

検察官:検察官が作った調書は、あなたがその内容を確認間違いないということで署名し、押印しましたね。
被告人:はい。

<検察官請求番号甲第1号証添付の事故現場見取図2(写し)を示す>

検察官:確認しますが、被害者があなたの車に衝突されたことで、倒れた場所というのはこの図でいうとどこですか。
被告人:それはここだと思います。

検察官:今、あなたが指差したのは、この図でいうと「破片散乱」と書いてある「散」の字のところですか。
被告人:はい。

検察官:この図上のオの地点で倒れていたのではないですか。
被告人:違います。

検察官:最終的に、被害者はこのオの地点で倒れていたのではないですか。
被告人:最終的にはそうだと思います。

検察官:最初、「破片散乱」の「散」の字あたりに倒れた被害者が、どうして最終的にはオの地点のところに倒れているということになるのですが。
被告人:そのときは両方ともエアバックが出ていまして、外も真っ暗で、そのとき何分かは分かりませんけれど、私は車の中で呆然としていました。

検察官:私の質問は、あなたが先ほど、被害者が「破片散乱」の「散」の字のところで倒れていて、ただ、最終的にはオの地点で倒れていたということですから、どういうことで被害者が移動したのですか、と聞いているのですが、それはどうしてですか。
被告人:傷のところからの血痕が斜めについているのですけれど、私も分からないですが、自転車を引いてここまで行ったんだと思います。

検察官:検察官:被害者が自転車を引いてここまで行くのを、あなたは見ていないのですね。
被告人:はい。

検察官:なぜ被害者が「破片散乱」の「散」の字のところで倒れて、オの地点まで自転車を引いて移動したと思うのですか。何か根拠があるのですか。
被告人:自分がこうしたという目撃者によると、私がここに止まったのも見ていますし、その目撃者によると、私の車の横には、(被害者)がいたそうです。

検察官:今あなたは目撃者によると、言っていますが、あなたは目撃者と話をしたのですか。
被告人:していません。

検察官:あなたが目撃者の調書を読んだ内容を話しているのですか。
被告人:はい。

検察官:目撃者の調書の中に、あなたの車が「破片散乱」の「散」の字のところで止まって、被害者も止まっていたという記載なんてありましたか。
被告人:あると思います。

検察官:目撃者の調書の中に、被害者が最初に倒れた地点からオの地点まで自転車を押していったなどという記載はありますか。
被告人:ないです。

検察官:あなたは、事故の衝撃でエアバックが開いて、前が見えなかったといっていますね。
被告人:はい。

検察官:エアバックが開いたということは、すごい衝撃だったのではないですか。
被告人:それは分かりませんけれど。

検察官:どんな衝撃だったのですか。
被告人:・・・。

検察官:衝突のとき、どんな衝撃がありましたか。
被告人:横から何か、物にあたったというか何かそういう衝撃でした。

検察官:大きな音とか、大きな衝撃ではなかったですか。
被告人:自分はちょっと分からないです。

検察官:被害者が今回の事故でどんな怪我を負ったかは聞いていますか。
被告人:はい。

検察官:どんな怪我でしたか。
被告人:・・・。分かりますけれども・・・。

検察官:どんな怪我をしたのですか。
被告人:頭の方が酷かったし、肺もつぶれていました。

検察官:身体に多数の骨折がありましたね。
被告人:はい。

検察官:そんな怪我を負った被害者が、あなたは見てもいないのに事故の後で歩いたと言っていいのですか。憶測でものを言ってもいいのですか。
被告人:・・・、それは分かりません。

検察官:今回の事故現場ですが、あなた通勤で毎日のように通っていたのですか。
被告人:はい。

検察官:そうすると、今回の事故現場の状況もよく分かっていましたか。
被告人:はい。

検察官:横断歩道があることも分かっていましたか。
被告人:はい。

検察官:歩行者用の押しボタン信号機が設置されているのも分かっていましたか。
被告人:はい。

検察官:あなたの対面には、車両用の信号機がありますが、交差する道路には車両用の信号機が設置されていないのも分かっていますか。
被告人:はい。

検察官:それを前提に聞きますが、前回の法廷で被害者に気が付いたとき、自分の前の信号機が青だったから、被害者が止まってくれるものと思っていたと、あなたは話していましたね。
被告人:はい。

検察官:それはそのとおりなのですか。
被告人:はい。

検察官:なぜ、あなたの前の信号が青なら、交差道路の自転車が止まってくれるのですか。
被告人:一時停止の線もありますし、停止の看板もあると思います。

検察官:青信号が関係なく、一時停止の標識等があるからということですか。
被告人:そうですけど押しボタン式の信号機もそこにはあります。

検察官:基本的なことを確認しますが、自転車は押しボタン式信号のボタンを押して、渡らなければいけない、とあなたは思っているのですか。
被告人:・・・そうだと思います。

検察官:自転車も車だから、基本的には歩行者用の信号機を押して渡る必要はないのですが、そういう知識はないのですか。
被告人:済みません。


<被害者参加人等による被告人質問の許可>

検察官:被害者参加人(被害者父親)から次の事項について質問の申し出がありました。検察官としてはしかるべくと考えます。
 1 今回の事故直後、被害者を見てどう感じたか。
 2 今回の事故原因について
 3 被告人反省状況が、遺族にどの程度伝わっていると思っているか
 4 今回の事故直後の状況について、被害者が歩いていたか否か

弁護人:異議はありません。

裁判官:上記質問を許可する。


被害者父親:あなたは、事故直後、倒れている悠斗を見てどの様に思いましたか。
被告人:とても可哀想だと思いました。

被害者父親:実際、亡くなっている状況なのですが、あなたは人が亡くなるとはどういうことか、その点をどの様に理解していますか。
被告人:大事な家族の一員を失ってしまったということです。

被害者父親:それだけですか。
被告人:大変なことをしてしまったということです。

被害者父親:今回の事故の原因は何だったと思いますか。
被告人:私のスピードの出し過ぎとよく見ないで進行した不注意です。

被害者父親:この事故の原因は、悠斗にも原因があったと思いますか。
被告人:私が悪いのですけれど、少し過失があると思います。

被害者父親:その過失は何割程度あると思いますか。
被告人:その辺はちょっと分かりません。

被害者父親:仮に悠斗が一時停止をしていたら、本当に事故は起きていなかったと思いますか。
被告人:起きていなかったんじゃないかと思います。

被害者父親:今回の事故のことをとても申し訳なかったと、述べていますね。
被告人:はい。

被害者父親:それで毎日、花を私どもの自宅に届けてきたということでしょうか。
被告人:はい、できればうかがって手を合わせたかったのですが、花だけでも玄関先に置かせてもらって謝らせてもらいました。

被害者父親:申し訳ないというあなたの気持ちが、この裁判で我々にその気持ちが伝わっていると思いますか。
被告人:伝わって・・・いるんじゃないですか・・・、そう思います。

被害者父親:伝わっていると思いますか。
被告人:思います。

被害者父親:率直に私どもが感じたことでは、その花を届けるという行為がこの裁判で有利になるのではないかとうかがわれるのですが、その辺はどう考えていますか。
被告人:・・・伝わっていない・・・。

被害者父親:花を届けてくれたことが、裁判で自分に多少は有利になるという思いはなかったでしょうか、ということを聞いているのですが、どうですか。
被告人:なかったです。

被害者父親:先ほどあなた、悠斗が自分で移動したというようなことを話していましたが、病院のドクターの話ですと即死という状況です。 そのドクターの即死という判断では、移動するというのは考えられないのですが、あなたはそのドクターの即死という判断についてどう思いますか。
被告人:・・・後から聞いた話ですが、病院に運ばれてから1時間生きていたと知りまして・・・。

被害者父親:ということは約1時間生存していたという、その想定の下であなたは悠斗が移動したと思ったということでしょうか。
被告人:私もはっきり分かりませんが、そうだと思います。

被害者父親:自転車ですが、実際にも「く」の字に曲がっていまして、自宅にありますが、健康な私でも押せない状況なのですけれど、それでも自転車を動かして移動したということなのですか。
被告人:そうなんじゃないかなと思います。

被害者父親:即死の悠斗が、折れ曲がっている自転車を自分で動かして移動したということですね。
被告人:はっきりと分からないですが、そうだと思います。

被害者父親:分からないけど、そうだということですね。
被告人:はい。


裁判官:今、被害者参加人の質問の中で、自分の反省の気持ちが被害者参加人に伝わっているかという質問で、最初、思うといっていてその後伝わっていないと答えましたか。
被告人:はい。

裁判官:あなたの答えた内容は、そういうことでいいですか。
被告人:はい。

裁判官:伝わっていないと思うのであれば、今後どうしようと思いますか。
被告人:謝罪していきたいと思います。


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