平成23年2月10日
被告人 ○○ ○○
弁護人 ○○ ○○
上記 自動車運転過失致死罪被告事件について以下の通り弁論致します。
本件事故については控訴事実と一部相違がありますが、有罪は止む得ないとの点から、以下の通りの弁論で情状酌量されることをお願い致します。
1. ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。
2. 本件事故は、勤務を終えて自宅に帰る途中の事故であります。事故現場は交差点ですでに日が暮れて真っ暗でありました。
スピードについては100qのスピードで追越し後にはスピードを落とし70q強80qで交差点に入りました。
被告の進行方向は国上方面で信号が青だったので交差点に進入しました。
この点の事故の模様は目撃者「○○○○の供述書」で明確であります。
自転車に乗った被害者はライトを付けず下を向いたまま交差点に進入しました。
被害者は携帯電話にイヤホンを差しこんで両耳にあて音楽を聴きながら右手で運転して一時停止せず交差点に進入したのであります。
被告は急遽これを避けるために右にハンドルを切ったのですが衝突したのであります。
後日被害者の携帯電話が田んぼの中から発見され、イヤホンは被告人車の左ライトとボディの継目付近に挟まっていたことは「実況見分調書の4、被告者○○の運転車両の(3)物損等の状況」に記載があり、19号の写真にイヤホンが垂れ下がっている事の記載があること。
及び平成22年12月6日付、司法警察官○○○○の「被告人車両及び被害者車両の衝突速度について」によってもこれを裏付けることができるのであります。
被害者はイヤホンを両耳にあてたまま、片手で自転車を運転して一時停止しないで交差点に進入し、被告人車の左前部の前照灯付近に衝突したものであることは明らかであります。
衝突と同時にエアバックが開いて前方が見えなくなり、破片散乱場所まで被害者をボンネットに乗せたまま進行して止まり、被害者はボンネットから落ちて、38.2m進行したのであります。
それ故に被害者のイヤホンが被告人車にぶらさがっていたのであります。
その後被害者は自転車と共に「エ点」まで移動したのであります。
「血痕」の表示がありますが、被害者が自転車と共に歩いて移動したものであります。
衝突点から破片散乱場所までの間に血痕のないのも被害者がボンネットに上がったまま自動車が移動して止まり、被害者が自転車と共にボンネットにから落ちて移動したものであります。
従って起訴状にある「自転車もろとも同人を跳ね飛ばした上、路上に転倒させた」とあるが、事実に相違するものであります。
その後被告人車は破片散乱場所に止まると交差点近くであるので危険を避けるため43.5mの地点まで移動したものである。
被害者が移動した地点まで血痕が斜めについていることも交差点から跳ね飛ばしたことではない証であります。
従ってこれらの状況からみて被告の過失は大きいものではありません。
しかし、その結果は被害者死亡と言う重大な結果になったもので、被告人としてもその責任は十分感じているものであります。
被害者のご冥福をお祈りするものであります。
3. 示談について
現在成立はしておりませんが、被告人は賠償無制限の保険に加入しており、この損害については完全に補填されるのであります。被告人もこれに協力、努力することとしております。
4. 被害者への反省
被告人は本件事件について、被告人自身も大きなショックを受け毎日被害者宅の前に行って花束を供えて、手を合わせ被害者とご家族へお詫びしてご冥福をお祈りし、深く反省の意を表しているものです。
以上の状況から被告人の情状を執行猶予のご恩典を与えられることをお願い申し上げます。
(追加)
平成23年2月10日
被告人 ○○ ○○
弁護人 ○○ ○○
上記 自動車運転過失致死罪被告事件について弁論を以下の通り追加致します。
1. 本件衝突部位について
本件事故の衝突部位は交通事故現場第2見取図にあるとおり交差点内の中央でDとウが衝突したと表示してあります。これは被告人車の前部脇の部分に被害者の自転車が衝突したものであります。(弁論要旨に左前部と書いてありますが左前脇部の誤記でありますのでこの点訂正致します。)
2. この衝突によって38.8メートルに被害者が飛ばされたとされているが、60キロ以上ある人体が自動車の衝突によって38.8メートルも飛ぶはことはあり得ないもので不可能であります。
3. 衝突交差点からエまで間には血痕がなく破片散乱地点からエまで血痕があるのは交差点から飛ばされたのでなく、破片散乱場所から被害者が移動したためにその間血痕があったのである。
4. 被告人車は衝突後、破片散乱場所で停車したものでEの地点で停車したものでない。破片散乱場所からEまで破片がないことからも破片散乱場所に停車し、交通の妨げにならないようEに移動して止まったものであります。
5. 被害者はボンネットに跳ね上げられたまま、破片散乱地点まで移動し被告人車の停車により道路上に被害者が落ち、自転車と共にエの地点に歩いて移動したものであります。それ故に血痕が破片散乱地点からエまであり、イヤホンが被告車の左ライトとボディの継ぎ目付近に挟まっていたのであります。
6. 制限速度内で交差点に進入しておれば本件事故は避けられたと主張されるが、本件事故の原因は一時停止すべきところに一時停止せず、暗い中を片手で前方不注意のまま進入した被害者の過失により被告車前脇部に接触衝突したものであり、法定速度内で進入すれば避けられたとの主張は誤りであります。
7. 被告人は青信号であったので70キロから80キロの速度で進入したところへ被害者自転車が前方注視せず進入したため接触衝突したものなのである。被害者の過失は大きいものであります。
被告人の最終陳述
今回の件はとても反省してますし、これからもご遺族の方に対し謝罪をしていきたいと思っています。
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